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2024.12.18

「日本の伝統技法-有松絞り-」②

「日本の伝統技法-有松絞り-」②
日本独自の伝統技術を採用し、ものづくりを展開していくa IN Uコレクション。今シーズンは愛知県名古屋市有松で受け継がれる、【有松絞り】を採用したアイテムを展開いたします。
「日本の伝統技法-有松絞り-」①につづき、今回も有松絞りの魅力を深掘りしていきます。

【有松】

有松駅を降りてすぐ、小川の音と枝垂れの木が目をひく小道を進むと、「ありまつ」の暖簾が一軒一軒、軒先に飾られた、江戸時代の面影を残す街並みが広がる「有松」。絞り染めは、伝統工芸として今も受け継がれ、繁盛した商家の街並みは、往時の繁栄を今に伝えています。
そんな有松で製作された今回のa IN U COLLECTION-ARIMATSU-は、デンハムを象徴する「デニム」からインスピレーションを受けデザインに落とし込まれています。イメージ実現のため、今回のプロダクトのためにオリジナル生地を製作。そしてインディゴでの染色、その生地に有松絞りをし、抜染加工を施す工程で製作しています。
「インディゴの泡が弾ける」

有松絞りを中心とし、染めや抜染などの加工を一貫して行う久野染工場とともに、完成させたa IN U COLLECTION -ARIMATSU-。クラッシュ絞りを採用する際に、「インディゴの泡が弾ける」イメージでの製作をお願いしました。
【抜染】

そもそも抜染加工とは、実際に抜染をしてみないとどんな感じに抜けるか、想定が難しい加工方法です。脱色は近代的な加工であり、染めた生地の色素を壊して模様を表現しているのが、抜染加工なのです。特徴的には、生地によって抜け方も、色も違い、その生地オリジナルの模様を描くことができ、生地の良さを出すことに秀でた加工です。その上で、抜染の際に使用する薬剤を工夫し、色の抜け方をコントロールすることで、再現された色合いとなります。

このクラッシュ絞りを「インディゴの泡が弾ける」イメージへと落とし込むまでに多くの試作が繰り返され、職人の感性や経験があって表現された模様によって本コレクションとして完成しています。
「デニムを絞った時に⽔が垂れる」

鳴門絞りを採用した際も同様、「デニムを絞った時に水が垂れる」イメージを表現してほしいと依頼をしました。鳴門絞りを採用したプロダクトの大きな特徴としては、強く色が抜けている部分から柔らかくグラデーション状に広がる模様に味があり、深い魅力があります。

前述にも述べましたが、使用する生地の特徴が顕著に現れる抜染加工。その中でも、相性が良かったと述べるべきでしょうか。薄手のさらりとしたコットン生地に施した鳴門絞りは、優しくインディゴが溶け出し滴る水を表現しているかのようなグラデーションのデザインを生み出しています。
鳴門絞りを他の生地に施した試作サンプル。生地によって全く違った雰囲気に仕上がります。
【想い】

有松の長い歴史の中で育まれた技法をハンドメイドで、そして実際製作にあたる職人がその生地の特性を見極めながら応用し作っています。伝統を受け継ぎながらも、日々研究を繰り返し、「新しいものづくり」を生み出すことで、「有松しぼり」は進化を続けています。

「手作業で作る量産の商品」それは、やはり一点一点柄のニュアンスに個体差が生まれます。「量産だけど一点もの。」それは、独特な特別感があり、お客様にも一点もの感覚で服を買うことが出来る、そんな特別なコレクションです。
日本の伝統技法の一つ、有松絞りについてどんな感想を抱かれたでしょうか。伝統、製作者や職人の想い。いろいろなお話を伺い、たくさんの方の手にわたり作られた商品は、特に思い入れの深いプロダクトです。実際に着ていただく皆さまにとって、特別な商品であると嬉しいです。